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メーカー新装備ピックアップ(2) 交差点検知が『スポーツカー・軽・マイクロバス』へ ― 標準装備化と、ADAS の水平分業

メーカー各社の発表から、予防安全・運転支援(ADAS/自動運転)の 新しいシステム・装備 を拾う月次連載の第2号です(対象は2026年7〜8月)。規制・アセスメントの動きは規格動向とベンチマークで扱い、本連載は 市販車・量産装備の動き に焦点を当てます。事実関係は各社の公表情報で確認し、原文・図表・ロゴは転載せず、要点を再構成して論評します(出典は記事末尾)。

1. 国内:交差点シナリオが「クルマの種類」を選ばなくなった

先月号では、軽商用車のサンバーに交差点・横断自転車の検知が降りてきたことを取り上げました。この2か月は、その流れが さらに違う車格へ広がった のが特徴です。

スバル BRZ 改良モデル(2026年7月30日発表)

アイサイトに広角単眼カメラを追加しました。従来はステレオカメラのみだった構成に、広角単眼カメラと認識範囲を拡大したステレオカメラを組み合わせ、交差点における衝突回避サポートの作動範囲を拡充したと公表されています。MT車への広角単眼カメラ採用はスバル初です。

スバル ステラ 改良モデル(2026年8月6日発表)

軽乗用車のステラでは、予防安全「スマートアシスト」に次が加わりました。

  • 横断中の自転車を新たに検知対象へ追加
  • 交差点で、右折時に対向方向から接近する直進車両を検知
  • 右左折時に対向方向から横断する歩行者を検知
  • 全車速追従機能付き ACC の先行車検知性能を向上(加減速をより滑らかに)、LKC 作動時のふらつきを低減

トヨタ コースター 一部改良(2026年7月29日発表)

マイクロバスのコースターでも、ミリ波レーダー+単眼カメラのプリクラッシュセーフティが強化されました。従来の車両・昼間の歩行者に加え、夜間の歩行者・自転車運転者・昼間の二輪車へ検知対象を拡大。さらに 交差点右折時の対向直進車、右左折時に対向方向から横断する歩行者・自転車 の検知に対応し、先行車の発進や信号待ちの解除を知らせる 発進遅れ告知機能 も追加されています。

論評:「同じ交差点シナリオ」が、価格帯も用途も越えて標準になった

この3台は、スポーツカー・軽乗用車・マイクロバスという、まったく異なるカテゴリです。それでも追加された機能は ほぼ同じ交差点シナリオ――右折時の対向直進車(右直)、右左折時の横断歩行者、横断自転車――に収束しています。規格動向で整理したとおり、これらは Euro NCAP・JNCAP が評価へ導入してきたシナリオそのものです。

予防安全の開発現場から見ると、これは重要な変化です。交差点・出会い頭は相手が 横から来る ため、真正面を見る前方センサだけでは検知の角度が足りません(検知に必要な距離・角度)。BRZ が広角単眼カメラを足したのは、まさにこの 角度不足を埋める ための追加です。一方でコースターは、ミリ波レーダー+単眼カメラという 既存の構成のまま 交差点機能を追加しています。つまり同じシナリオでも「センサを足して解く」道と「認識ソフトの改良で解く」道があり、車格とコスト構造に応じて選ばれている わけです(パラメータ設定はコスト構造に直結する)。

もうひとつ注目したいのは、ステラの 「ACC の加減速をより自然に」「LKC のふらつき低減」 という改良です。これは事故を防ぐ性能ではなく、支援が余計に感じられないこと に向けた改良です。介入が過剰・不自然だと使われなくなり(OFF にされ)、結果として安全性能が発揮されません。予防安全は「作動性能」と「作動しすぎない品質」の両輪であり、後者に手を入れた改良は評価されるべきです(介入リスクの構造)。

2. 海外:安全機能の「標準装備化」と、ADAS の水平分業

BMW:Neue Klasse で標準アクティブセーフティを拡充(2026年8月28日発表)

BMW は Neue Klasse 世代の投入にあわせ、アクティブセーフティ機能の標準装備範囲を広げると公表しました。挙げられている機能には、自転車との接触を防ぐために ドアの開扉を能動的に遅らせる降車時警告(Exit Warning)、協調型の車線維持支援、緊急操舵介入、緊急ブレーキアシスト、優先道路の警告、緊急停止機能付きの注意力アシスト、クロストラフィック緊急ブレーキ、発進監視などが含まれます。対象は iX3・i3・X5・7シリーズです。

なお同世代の第1弾である iX3 は、Euro NCAP が2026年から採用した新体系での最初の公表2台のうちの1台 として★5を獲得しています。詳細はベンチマークのページに追加しました。

Mobileye × Stellantis:クラウド型 ADAS の供給(2026年7月21日発表)

Mobileye は、Cloud-Enhanced ADAS を Stellantis の一部の将来モデル(2027年以降)へ供給すると発表しました。中核は REM(Road Experience Management) で、走行車両から集めたデータを地図情報としてクラウドで束ね、標識や交差点の位置といった情報を車両側の認識に足し込む仕組みです。米欧の公道の大部分をカバーするとされています。

論評:「標準装備」と「共通基盤」は、同じ問題への2つの答え

BMW の発表で本質的なのは機能の名前ではなく、それを標準装備にした ことです。予防安全はオプション設定にすると装着率が上がらず、社会全体の事故削減にはつながりません。安全機能を上位グレード限定にしないという判断は、コストを織り込んだうえでの企画上の決断です。

一方、Mobileye×Stellantis は逆方向のアプローチです。第1号で取り上げた BMW×Qualcomm の共同開発 ADAS 外販 と同じく、ADAS が 各社が自前で作るもの(垂直統合)から、共通基盤を買って積むもの(水平分業)へ 移りつつあることを示しています。とくに REM のようなクラウド地図は、走っている車が多いほど精度が上がる 性質があり、1社単独では規模の面で不利になります。「どのメーカーの車か」ではなく「どの基盤を積んだ車か」で予防安全の実力が決まる場面は、今後さらに増えるはずです。

ただし共通基盤化には裏面もあります。同じ基盤の弱点は、それを積んだ全メーカーの車に同時に現れるということです。センサ構成や認識アルゴリズムが各社バラバラだった時代には分散していたリスクが、集中する方向へ動いている――この点は、今後アセスメントや規制がどう扱うか注視すべき論点だと考えます。

今月のまとめ

区分発表予防安全の要点
国内スバル BRZ(7/30)アイサイトへ広角単眼カメラ追加、交差点の作動範囲拡充(MT車へは初採用)
国内スバル ステラ(8/6)横断自転車・右直・右左折時の横断歩行者を検知。ACC/LKC の作動品質も改善
国内トヨタ コースター(7/29)夜間歩行者・自転車・昼間二輪へ検知拡大、交差点機能・発進遅れ告知を追加
海外BMW Neue Klasse(8/28)降車時警告・緊急操舵介入などアクティブセーフティを標準装備化
海外Mobileye×Stellantis(7/21)クラウド型 ADAS(REM)を2027年以降のモデルへ供給

本記事の事実関係は記事末尾の出典で確認したものです。各社のプレスリリース・資料の文章や図表・ロゴは転載していません。BMW の2026年8月28日発表はプレスリリース配信サイト経由で確認しており、BMW 公式ページの該当URLは特定できていません(内容は要確認)。装備の詳細・適用グレードは市場やグレードにより異なります。日付・内容は確認日(2026-09-01)時点のものです。

出典

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